牛蒡祭り

  • 祭り:牛蒡祭り
  • 開催日時:2月11日
  • 開催地:仲山神社(津市美杉町下之川5293)
  • 生物:ゴボウ
  • 流域:雲出川上流

 

牛蒡祭り
 美杉町の仲山神社で2月11日におこなわれる牛蒡(ごんぼ)祭りでは、子孫繁栄と五穀豊穣が祈念されます。1598年におこなわれていた蟇目(ひきめ)祭がもとになっています。その中には御弓(おんたらし)と俎板(まないた)の神事があり、調理をしたゴボウを供えていたことから、牛蒡祭と呼ばれるようになりました。また、蟇目とは音を立てて飛ぶ鏑矢(かぶらや)の一種です。これらの神事は受け継がれており、弓矢の奉射とボラに触れずに箸と包丁で捌く包丁式(俎板)が現在もおこなわれています。
 包丁式は、包丁役とまな板役がそれぞれ2名ずつの計4名により、神前の2尾のボラを3枚おろしの上身4切れの下身5切れに捌きます。その後ボラは、さらに細かく切り味噌で和えられ、参加者へ振舞われます。
 これらの神事の後、杉の木でつくられた男根を供え付けた御輿と藁でつくられた女陰を供え付けた御輿の練り歩きがあります。
ゴボウは、神饌と祭宴に出されます。調理は、切ったものを酒で蒸し、山椒味噌または唐辛子味噌を付けて朴葉に盛られたものが供えられます。

出典:ものと人間の文化史 ごぼう_冨岡典子
出典:三重県下の祭りにみられる包丁式について_水谷令子/久保さつき/松本亜希子


〇ゴボウ
 身近な野菜であり神饌としても供えられるゴボウは、縄文時代に渡来したといわれており、中央アジア原産のキク科ゴボウ属の植物です。ヨーロッパからアジアに6種ほど分布していますが、食用となるのは1種のみです。多くの栽培品種がありますが、通称山ゴボウ、浜ゴボウといわれ食されているものは、同じキク科ですがアザミ類の植物です。
 近代の品種は、品種改良及び耕作技術の発達により、細長く1m程まで成長するものが一般的ですが、古代の品種では、現在よりも太く短いものでした。品種改良が進んだ現在でも、かつてと同じように春に種を蒔くのが主流です。

出典:ものと人間の文化史 ごぼう_冨岡典子
出典:野菜園芸大百科 第2版 11_農文協編集


〇SDGs学習の発展可能性
 地域ごとに異なる気候や土壌といった様々な条件に対して、適した作物の栽培を適地適作といいます。その地域に適した作物でない場合、温度の調整(ビニールハウスや暖房)や土壌改良が必要になります。その際、作物の栽培に多くのエネルギーを用いります。しかし、気候変動により、今までの適地適作は必ずしも絶対ではなくなってきています。それに伴い、作物の品種改良やデータ管理が進んでいます。安定した作物を供給する技術の向上と発展が必要になりますが、同時に気候変動にも取り組んでいかなければなりません。