小木田の棒の手

  • 祭り:小木田の棒の手
  • 開催日時:10月第2日曜日
  • 開催地:小木田神社(愛知県春日井市小木田町147)
  • 生物:カシ類
  • 流域:土岐・庄内川中流

 

〇小木田の棒の手
 小木田の棒の手とは、春日井市小木田町にある小木田神社、および貴船神社の祭礼の際に奉納される県指定の無形民俗文化財であり、当該地域に伝えられた棒術の演武です。流派は源氏天流で八幡太郎義家を流祖とし、明治元年に三河国吉良内東篠の佐々木内蔵介豊高、佐々木加兵衛尉豊雄から春日井郡瀬古村に伝えられ、明治21年(1888年)に関田村の河野万三郎義次と加藤平輔義平に伝えられ今日に至ります。毎年10月に貴船神社と小木田神社で行われ、口伝を基本としますが、相伝目録等、歴史的に貴重な文献が保存されていたことから、1956年に愛知県の無形民俗文化財に指定され、1959年には皇居吹上御苑で天覧演武を行なっています。 熱田神宮の尚武祭、豊国神社の春祭にも奉納が続いています。
 小木田の棒の手は、戦国時代末期の実践的な古武術の型を色濃く伝え、質実剛健とされ、激しい打ち合いやキレのある棒さばきが特徴です。祭りでは、塩を撒いて清めた場において、演者は特色のある掛け声を発しながら 2、3名が一組ずつ演技を行います。棒や薙刀など様々な道具を組み合わせて、定められた型を演じます。相伝目録には100を超える技が記されているものの、今日では主に太刀棒・手割り・振り鎌・傘槍・真剣竹切・コップ槍等の技を中心に奉納や公演を行っています。

出典:「春日井市史 資料編4」春日井市、春日井市
出典:「春日井の神社」 春日井市教育委員会、春日井市教育委員会
出典:「春日井の文化財」春日井市教育委員会、春日井市教育委員会


〇カシ類
 上記の棒の手では、カシが使われます。カシは常緑性であり、葉には表面につやがあり、アカガシ亜属は日本から台湾、中国南部、ヒマラヤにかけての温帯南部の湿潤地域に約150種が分布します。日本では関東地方以南に多く、一部の種は、分布の北限が太平洋側で宮城県、日本海側で新潟県に達します。一方、コナラ亜属の常緑性のカシは、温暖だがやや乾燥した地域に多く、東から東南アジア以外にも南ヨーロッパやアメリカ大陸にも分布します。カシの材質は非常に堅く、また粘りがあり強度も高く耐久性に優れており、その特性から道具類、建築用材などに広く使われています。 しかし、加工がしにくい、乾燥しにくいといった難点もあります。 民家の垣根に植樹される主要な樹木の一つでもあり、常緑樹であるために防風林としての機能も果たします。


〇SDGs学習の発展可能性
 カシの木は里山などに繁茂する、人々の生活に身近な木です。棒の手の演舞の習得や、武具の加工の過程を通じて、地域の身近な自然環境の価値の理解に繋がり、祭りと関連させることで、地域社会の持続性へと知識を拡大させることに繋げられます。