- 祭り:杵こさ祭
- 開催日時:旧暦の1月17日
- 神社:七所社(愛知県名古屋市中村区岩塚町上小路7)
- 生物:タケ
- 流域:土岐・庄内川下流
〇杵こさ祭
この祭りは、模擬的な田植えの所作等により豊作を表現する事でその年の豊作を祈念する御田祭であり、通称を杵こさ祭りといいます。祭りではその年の作柄を占い、また、五穀豊穣や厄除けといった事を祈念します。杵こさは、祭りで用いられる祭具が由来です。
祭りで奉仕する人を役者と呼び、氏子の中から、43歳の後厄が10名、42歳の厄年の人の子供が2名選ばれます。役者たちは、7~8mのタケの棒を担ぎ、社務所から庄内川へ向かいます。タケは七所社から上流にある竹林から刈り取られたものが用いられます。役者がタケを川の中央へ立て支える中、一人がタケを登り、しなりながら折れたタケの方角で作柄を占います。これを川祭りと呼んでいます。南から東の方角に折れた場合は吉、北から西に折れた場合は凶といったように占います。また、その年の恵方の方角に折れた場合は北から西でも大吉という事でした。
川祭り後、役者はそれぞれの衣装に着替え、拝殿にて祭典をおこないます。祭典を終えた役者は祭具を持ち本殿前において、杵とこさ(杵からこすり落とした餅を表現した袋状の物)で餅をつく所作、太鼓と笛に合わせての獅子舞といった所作をそれぞれでおこないます。所作の終了後に、参拝者は杵とこさにより叩かれ、また笠鉾により突かれます。これらの祭具により、叩かれたり突かれる事により、その年の厄から逃れることができるといわれています。
出典:祭礼事典・愛知県_愛知県祭礼研究会 編
〇タケ類
イネ科であるタケ類は、暖温帯から熱帯に至るまで広く分布しています。成長が早く、地下茎という地下で伸びる茎により無性繁殖(タケノコは地下茎から伸びる)でも増える事ができるため、とても繁殖能力が強い植物です。多くの種類が存在しますが、日本で身近なタケは、マダケ、モウソウチク、ハチクの3種です。
マダケは、高さ20mまで成長します。竹細工から家具や建築材といった耐久性が求められる素材にも用いられます。タケノコはくせがあり食用としては一般的ではありません。モウソウチクは、江戸時代に中国から渡来したとされ、高さは20mまで成長しますがマダケより稈(かん:木の幹の部分)が太く、日本におけるタケでは最も大きく成長します。普段食されるタケノコはモウソウチクです。ハチクは、マダケに似ていますが、表皮全体が白っぽく見えるのが特徴です。材は細く加工できるため、茶せんや提灯などに用いられます。タケノコは美味とされています。
出典:農林水産省_https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2103/spe1_01.html
タケ・ササ総図典_内村悦三
〇SDGs学習の発展可能性
上記のタケ含め様々な種類のタケが生活用品や食品、観賞用等といった理由で多くの地域で植栽されてきました。しかし、竹の需要減少や管理の放棄により、植栽後、森林や耕作地への竹林の拡大が問題になっています。
現在、紙の原料やバイオマス発電、セルロースを成分とした繊維を取り出して、新たな素材としての活用等が模索されています。繁殖能力が高いタケは、持続可能な資源として活用する事ができます。