- 祭り:亀崎潮干祭り
- 開催日時:5月3・4日
- 開催地:神前神社(愛知県半田市亀崎町2-92)
- 生物:アサリ
- 流域:愛知用水中流
〇亀崎潮干祭り
亀崎潮干祭は、半田市亀崎地区の5つの組に組織された各組が所持する山車によっておこなわれ、山車は祭り当日に海へ曳き入れるという特徴があります。山車を曳き入れる神前神社前の砂浜は、伊勢湾台風(1959年)の被害と、その後の護岸整備とともに砂浜が消失し、海浜曳き下ろしはおこなわれなくなりました。現在、山車の海浜曳き下ろしのための砂浜は、1993年に造成された人口の砂浜です。
祭の発祥は、応仁の乱の時代、この地に居ついた武者が荷車を笹やしめ縄で飾り始めたと言われています。亀崎は、江戸時代中・後期にかけて、酒や木綿などの物資の製造と、これらを江戸に運送する尾州廻船で大きな富を得て、それが5輌の絢爛豪華な山車づくりにつながりました。
亀崎の名物である串アサリは、アサリの水管に竹串を刺し干したものです。1日ないし2日間、天日干ししたものであり、アサリの獲れる時期に作られますが、潮干祭の時期と重なるため、祭りでの酒宴や御もてなし等に振舞われる御馳走となります。かつては、各家庭で作られていた串アサリですが、干すのに適した大振りのアサリの漁獲量が減ったことにより、作る家庭も減少し、現在では串アサリを作れる人はわずかとなってしまいました。
出典:亀崎潮干祭保存会_https://shiohi-matsuri.jp/
出典:半田市誌地区誌編亀崎地区_半田市誌編さん委員会
○アサリ
アサリは、干潟や浅瀬などの潮の満ち引きにより、干出するような沿岸地域で生息します。水中で受精した卵から、2∼3週間の浮遊生活をする、浮遊幼生からはじまり、潮の流れにより、干潟へ戻ることのできた浮遊幼生のみが、砂地へ着底し、底生生活をする0.
2∼0.3㎜の着底稚貝となります。稚貝は、水の中を流れながら、適した砂地を探し、その後に土中へ潜ります。やがて成長した成貝は、春と秋の年2回(または年1回)に産卵をします。アサリなどの二枚貝の多くは、水中に漂う植物プランクトンや生物由来の粒子等の有機物を食べてくれます。また、アサリはクロダイのような魚類やカニの食料にもなっていて、食物連鎖の一部として海の生態系を守っています。
しかし、アサリの個体数は減っており、長年の研究や調査の中では、赤潮や青潮による海の酸素不足や海水温の変化、生息地である干潟の減少、ツメタガイの食害やウミグモの寄生、漁獲圧力の増加等々、数多くの考えられる理由が挙げられます。しかし、決定的な解決策がないのが現状です。
出典:"アサリとはどんな生き物か:アサリの生態,および漁業生産の推移"日本ベントス学会誌57_伊藤博
出典:水産総合研究センター増養殖研究所_https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/81/6/81_WA2212/_pdf/-char/ja
⭕SDGs学習の発展可能性
多くの海岸では、干拓や埋立、護岸工事等を行った結果、アサリが生育できる干潟は消失してしまいました。アサリの生育ができない環境が広がればアサリが生物種として生き残ることが難しくなるように、他の生物多様性問題も同じではないでしょうか。アサリを代表とした干潟の生物が生息できる環境について、考えてみてはどうでしょうか。