豊浜鯛まつり

  • 祭り:豊浜鯛まつり
  • 開催日時:7月下旬
  • 開催地:愛知県知多郡南知多町豊浜地区
  • 生物:タイ
  • 流域:愛知用水下流

 

豊浜鯛まつり
  鯛まつりとは、愛知県知多郡南知多町豊浜地区で浜と海の安全を祈るために毎年7月に行われる祭りです。豊浜の5地区(中洲・東部・鳥居・半月・中村)から、張りぼての鯛が出て、町内や海を練りまわります。鯛の神輿の原型は、地区の山車を新しくした際に作られたハツカネズミの張り子です。その後、「おもいつき」と呼ばれる張り子は、近海で穫れる魚が造られるようになり、大正初期から海中にも入り、昭和11年頃には鯛の張りぼてが定着しました。
 知多半島の隣にある篠島には「御幣鯛(おんべだい)」といわれる千年以上続いている伊勢神宮へ鯛を奉納する神事があります。また、日間賀島には「御用鯛(ごようだい)」として徳川や尾張藩主等へ献上されていました。このように三河湾と伊勢湾に面した海は、昔から鯛などの様々な魚の穫れる漁場として有名でした。
 張りぼては、地域によっては赤い真鯛を祭りの後半では黒く塗ってクロダイに変化させることもあります。高級な真鯛と比べると安価なクロダイは庶民の魚として親しまれています。


〇豊浜の海
 知多半島南部の岩礁帯は、多くの海藻や魚の生息域となっています。恵まれた海では漁業が盛んであり、知多地区の漁獲量は、カタクチイワシやシラスが愛知県全体の漁獲量の約75~85%を、タイは約60%を占めています。とりわけ、豊浜は古くから漁業が盛んな地域で、万葉集で歌われた「須佐の入り江」とは、豊浜の須佐ともいわれています。西に伊勢湾、東に三河湾に面した知多半島は、名古屋都市圏のリゾート地としても有名ですが、「水が汚い海水浴場ランキング(2022年)」において、りんくう海浜緑地と新舞子の海水浴場がワースト1位と2位を占めています。しかし、知多半島の砂浜は、ウミガメの産卵も確認されています。また、知多半島南部の岩礁帯は、多くの海藻や魚の生息域となっています。


〇SDGs学習の発展可能性
 東海・中部地域では、河川の流域を単位とした持続可能な社会づくりへの取組が進んでいます。近年では、環境省が「地域循環共生圏」の考え方を提示して、「森・里・川・海」の自然の一体感を意識した地域づくりの重要性を訴えています。 
 中部ESD拠点では、伊勢・三河湾に注ぎ込む河川流域一帯を、私たちの地域として捉え、持続可能な社会づくりに向けた活動を展開しています。流域内の「南北問題」とも呼ばれる都市と農村の経済格差や社会的分断を乗り越えて、上流・中流・下流の人々が地域課題解決のために協働することが求められています。
 愛知用水で繋がる木曽川源流と知多半島の人々が、文化を通じて交流し、異なる自然環境の価値を理解することにより、経済的な相互補完や流域一帯の環境保全に向けた協働の可能性が広がるのではないでしょうか。