- 祭り:てんてこ祭り
- 開催日時:1月3日
- 神社:八幡社(愛知県西尾市熱池町神田)
- 生物:ダイコン、ボラ
- 流域:矢作川下流
〇てんてこ祭り
『てんてこ祭り』は、毎年正月3日に行われる五穀豊穣を祈念するお祭りです。 祭りでは、赤い衣装に身を包んだ6人の男が神社に向けて行列し、うち3人は男根を模した大根を腰につけ、「てんてこ、てんてこ」という太鼓の囃子にあわせて腰を振って神社に向かいます。この所作は、穀物と人の生殖の重ねて表したものといわれています。
神社の境内に着くと竹箒で藁灰を撒き散らしますが、これは肥料を施すさまを表したものといわれています。祭りの儀礼食の中になますがあり、大根とボラを用います。
てんてこ祭りが行われる八幡社は、愛知県西尾市熱池町神田にあります。平安時代(西暦859年)に清和天皇の大嘗会の悠紀斎田にこの地が選ばれたことにちなんで始まった祭りと伝えられています。熱池(にいけ)は、もとは贄(にえ)池と書き、供物を意味する贄を意味します。神田と共に、悠紀齊田に関係した地名です。
出典:西尾市教育委員会事務局文化財課_
https://www.city.nishio.aichi.jp/sportskanko/bunkazai/1001485/1001609/1001670/1002754.html
出典:矢作川の流域における祭礼と服装についての調査(第 4 報):三河万歳 西尾のてんてこまつり_栃原きみえ
〇ダイコン、ボラ
てんてこ祭りでも使われているボラは、成長段階で呼び名が変わる出世魚です。ハク(3cm前後)、スバシリ(10cmくらいまで)、オボコ(5〜18cm)、イナ(10〜25cm)、ボラ(30〜40cm)、トド(40cmもしくは50cm以上)と変わります。「イナ」の由来は「稲」からきており、若魚や稚魚で田んぼにも入ることからとも云われています。
大根は、アブラナ科だいこん属の植物です。ルーツは諸説ありますが、地中海地方や中東が原産で古代エジプトから食用としていた記録があるようです。日本で栽培が盛んになったのは江戸時代に入ってからで、地方ごとに品種改良が盛んに行われました。
出典:ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑 https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%83%9C%E3%83%A9
出典:北陸農政局 https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/engei/tokusan201610.html
〇SDGs学習の発展可能性
近年、海洋に蓄積されるプラスチックごみが、深刻な問題となっています。プラスチックごみの海洋への経路として、河川が挙げられます。様々なプラスチックがごみとして流れますが、その一つに被覆肥料というものがあります。
被覆肥料とは、肥料が溶ける量や溶ける時期を調節するため、プラスチック等で肥料成分を被覆したものです。しかし、使用後の被膜殻がほ場から海洋に流出していることが問題となっています。
海洋プラスチックごみは、時間が経つにつれ、次第にマイクロプラスチックと呼ばれる微細片となります。マイクロプラスチックは、漂流の過程で汚染物質が表面に吸着してしまうため、化学汚染物質の海洋生態系へ取り込まれる原因になる可能性があります。SDGsの視点から、愛知県の農業と三河湾の魚の関係を考えてみましょう。