- 祭り:御衣祭(おんぞまつり)
- 開催日時:4月の第3日曜日
- 開催地:伊良湖神社(愛知県田原市日出町骨山1407)
- 生物:カイコガ
- 流域:豊川下流(豊川用水)
〇御衣祭
御衣祭は長い歴史を持つ祭りで、三河地方で採取された蚕糸を織って、伊勢神宮のおんぞ料に献じたのが始まりとされています。1967年まで、おんぞまつりは伊勢神宮で「神御衣祭」が行われるのと同じ日の旧暦4月14日におこなわれていましたが、現在では毎年4月の第3日曜日が祭礼の日と決められています。
おんぞまつりのおこなわれる伊良湖神社は、その昔、伊良久大明神と呼ばれた古い神社で、宮山に位置していました。古くから、この地は伊勢神宮領伊良湖御厨であったので、渥美半島の地にありながら伊勢神宮とは縁が深く、外宮から禰宜が来て神事を執り行っていました。祭の当日は、午前11時からご祈祷が行われるほか、漁夫歌人・糟谷磯丸の供養祭なども行われ、沿道は賑わいをみせます。また、この日は付近の人々が針やはさみを手にしない習わしとなっています。
〇カイコガ
養蚕は少なくとも5000年の歴史を持ちます。中国の伝説によれば黄帝の后・西陵氏が、庭で繭を作る昆虫を発見し、黄帝にねだって飼い始めたといわれています。カイコガは養蚕のため、人間が飼い慣らし、数千年かけて家畜化したものです。より良い生糸を多く効率的にとることを目的に、品種改良を重ねてきました。また野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物として知られ、人間による管理なしでは生きることができません。例えば、カイコガを野外の桑に留まらせても、餌の桑の葉を探せないまま餓死したり、体色が目立つ白であるためにすぐに捕食されたり、腹脚の把握力が弱いため容易に落下したりして、すぐに死んでしまいます。成虫も翅はあるが、体が大きいことや飛翔に必要な筋肉が退化していることなどにより、羽ばたくことはできるが飛ぶことはほぼできません。
出典:農研機構のサイト_https://www.naro.go.jp/publicity_report/season/134952.html
〇SDGs学習の発展可能性
愛知県三河地方には、平安時代から知られる絹糸のブランド「赤引の糸」があります。「赤引の糸」は明るく清らかな絹糸の意味があり、伊勢神宮で神が着用する冬の御衣の原料となります。和妙は神宮の神御衣祭で奉納されます。そのような伝統がある絹糸産業ですが、現在は輸入絹糸の台頭や後継者不足で、何と伊勢神宮へ奉納するために養蚕をしている後継者はたった1人です。養蚕は1人では不可能で、例えば、カイコガの餌となる桑の葉を育てる事など、多くの人の協力がないと、伝統を繋ぐことができません。御衣祭の神事を通じて、地域ブランドを育み、一時期は日本の主産業でもあった養蚕の歴史とその持続可能性を考えるきっかけに繋がります。