持続可能な社会の実現のために地球規模でさまざまな取り組みがなされていますが、1992年の地球環境サミット(リオ・サミット)以降、21世紀に入っても環境と開発の課題は解決されていません。リオ・サミットの10年後、こうした状況を踏まえ、持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)において、持続可能な社会の実現のために、教育の重要性が再確認されました。日本政府は「持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」の開始を提案し、同年12月の国連総会において全会一致で2005年から2014年までを「持続可能な開発のための教育の10年」の実施が決まりました。
これを受けて、地域レベルでESDを進めるために、2005年からESDの地域拠点計画(国連大学認定RCE)を開始されました。2016年4月現在、世界129地域を数えます。東海・中部地域においては、愛知・岐阜・三重の3県を対象地域として、2007年に中部ESD拠点(RCE
Chubu)が設立されました。中部大学を幹事機関として、名古屋大学、なごや環境大学、市民の受け皿である中部ESD拠点推進会議などが申請を行い、同年11月に国連大学のRCE認定を受けました。2008年1月には、上記団体に三重大学、岐阜大学、中部環境パートナーシップオフィス(EPO中部)を運営団体に加え、中部ESD拠点協議会が発足しました。2016年現在、76団体の加盟を得ています。
2014年11月に開催されたESDユネスコ世界会議では、ESD推進のための「中部モデル」の構築・発信を行いました。その後、中部ESD拠点(RCE
Chubu)は、ユネスコが提唱する新たなESD事業(※GAP:~2019年)の課題を引き受け、10年後・20年後を見据えたESDの発展と社会実装を目標とし、そのために新たに3つの部門からなる体制で活動をスタートさせています。3部門構成は、世界会議で中部ESD拠点が提案した本拠点の基盤となる「流域圏ESDモデル」を更に発展・具体化させる《基盤部門》、多様な教育現場においてESDの教育実践を広げる《実践部門》、そしてESDに関する専門的・戦略的・シンクタンク的組織化を目指す《研究部門》から成っています。
この地域のESDの新たな取り組みにご賛同いただき、活動指針にご協力いただけますようお願いいたします。
※愛知県名古屋市で昨年開催された、「ESDユネスコ世界会議」では、「あいち・なごや宣言」が採択され、ユネスコの新規事業としてESDの「グローバル・アクション・プログラム(GAP)」(2014~2019)が開始されました。今後5年間の中心課題は、これまでのESDの優良実践をさらに発展させ、社会全体を持続可能なものへと変容させることにあります。